中華宇宙論のベースを成す陰陽五行論に於いて、秋は金のエネルギーが支配する季節。8月の申月は陽金、9月の酉月は陰金、1年の後半を支配する陰の気が、ここからぐっと濃くなっていきます。暑い夏が苦手な人、火の五行が忌神の人にとっては、ホッと一息つけて、やっと動き出せる良い時期ですね。
一般的に、金のエネルギーの象意としては、鋼などの金属や、刀や短剣のイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。硬くて鋭い金属ですね。また、ゴージャスな貴金属の宝飾品も、金の五行に属します。金星など美に関連するもの多くは、金の五行に関連付けられています。
また、金のエネルギーは、精神性と明快な思考とも関連しています。四柱推命の命式に於いて金のエネルギーがアンバランスな場合、悲嘆しがち(ペシミスト)だったり、粘着質気味だったり、集中力に欠けていたり、共感性が薄かったり、言葉に棘があったり、などの要因になるのです。
五行エネルギーのサイクルで、土によって生成される金は、その上下を土によって囲まれています。金は土の中で生成されるー金属元素の多くは土の中にあるからです。医学的観点で観ても、腸の健康状態(土の五行に関連する)が精神の健康に影響することが、多くの研究により証明されています。西洋医学の研究に於いても、中医学のセオリーが認められているんですよ。
秋は、単なる季節の変わり目というだけでなく、これからやってくる最陰の季節、寒さと静けさが支配する冬への準備として、自分自身を少しスピードダウンし、調子を整えるべき、大事な季節なんです。文章でよく『季節の変わり目につき、ご自愛ください』などと書きますが、正に今、自愛=セルフケアが重要な時。
日々の生活で取り入れやすい味覚としては、金のエネルギーが支配する辛味を意識して摂取してみてください。辛味のあるものー生姜、ニンニク、唐辛子、キムチ、また多くのハーブやスパイス類(ネギ、コリアンダー、ウコン、パプリカパウダー等)も、金の五行に属します。辛味のスパイス類は、人間の感覚を覚醒させる効果があるだけでなく、活力を身体に呼び起したり、また過剰なエネルギーを体外に分散させる効果があることも証明されています。
自分の心身を丁寧に扱い、エネルギーを発散することを控え、補給していく方向へ舵を取ってください。秋の養生を怠ると、冬に風邪を引きやすくなるなど、冬場を乗り切るエネルギーが足りなくなります。