スイスへ行く直前、写真家:中藤毅彦先生の『STREET RAMBLER-HAVANA』展、東京での初日にお声掛け頂き、お邪魔してきました。キューバの首都:ハバナの人々を写した写真の数々だったのですが、11年前に訪れたことのある場所という懐かしさもあり、また、色が溢れている現地をモノクロで撮影した作品であることで、新鮮な印象を強く受けました。
まるで1960年代のアメリカを再現した映画セットの様なハバナの街並みは、観光客の喧噪とキレイなパステルカラーが溢れて賑やかな一方、市井の人々が暮らす路地裏に入り込むと、国交断絶により時が止まったままの静かな白黒の世界。世界で屈指の社会主義国であるものの、観光客が落とすお金による貧富の差が、私のようなキューバ初心者にも明らかに見て取れる日常は、モノクロで撮る方がより鮮明に浮き上がってくるんだなと実感。現地で生きる人々の顔に刻まれている深い皺が織りなす光と影は、複雑に矛盾を抱えている現代の社会主義国システムそのものの光と影とリンクするという感じ。会場に展示されている写真を観ながら、心はキューバへトリップしていきました。11年前に訪れたキューバは、初めての社会主義国国家であり、初中米でもあり、ハネムーンでもあり。楽しいことだけでなく、旅で遭遇する嫌な目にも遭ったり、自分にとって非常に印象深い場所のひとつなのです。
2015年にアメリカとの国交回復が実現してから、結構な速度で変化が起こっているとメディアでも取り上げられています。新しい部品だけでなく、製品そのものも入ってきているので、クラシックカー天国だった景色もどんどん変わって行っているのでしょう。キューバ、と聞いて誰もが思い浮かべる様な風景を求めているのであれば、早めの渡航をお勧めしたいと思います。