タイのプーケット島に住む知人Ms. Pが、全身をガンに覆われていて余命いくばくもないことをシンガポールの友人:Khengから聞きました。Ms. Pは東南アジア各国の有名なラグジュアリーホテルのスパを、トップセラピストとして渡り歩いてきた凄腕エステティシャンであり、ヨガ・マスターであり、リンパドレナージュやチネイザンなど様々な施術スキルを持つフィジカル・セラピストで、言わば健康についてはプロフェッショナルな知識を持っていた人。それなのに、50代前半という若さで人生を終えようとしているというのは、何ともやりきれないところです。
Ms. Pとは数年前、Khengの家で数日間一緒に過ごしたことがあるのですが、毎日朝晩のヨガ修練は欠かさず、食事にも厳しいルールを設けていて、自分の身体と健康について凄くストイックな人だなぁと思ったことを覚えています。厳格なベジタリアンで、そのために体温が低かったのかもしれません。私の記憶の中の彼女は、高温多湿の常夏シンガポールで、常に長袖+首周りのストールというファッションでした。私なんて、ノースリーブのワンピース1枚だけでも汗ダラダラなのに。
西洋医学と東洋医学、両方に精通しているドクターSが言うには、ガンという病気は体温、身体の冷えと密接な関係があるということです。これは学会でも発表されているそうですが、ガン細胞は体温が35℃台(またはそれ以下)の時に最も増殖し、39.3℃以上になると死滅する性質を持っているんだそうです。近年、ガンにかかる人が増えている原因のひとつとして、低体温の人が増えていることが挙げられるそうです。ドクターS曰く、体温が1℃下がるだけで、免疫力は37%、代謝は12%も落ちるんだそうです。病気をすると熱が出るというのは、自己免疫力を活性化するために、身体が体温を上げようとするからなんですね(人間の身体は本当に良く出来ていますね!)。
そのため、常に高い温度を保っている心臓や脾臓にはガンは発生せず、体外と繋がりがあり管になっていて冷えやすい臓器(食道・胃・肺・大腸・卵巣・子宮等)に発生しやすいのだそうです。心臓は常時運動を繰り返し熱を生成し、常に40度台が維持されています。脾臓には赤血球が集中しているため、温度はやはり40度台なのだそうです。
免疫力は身体内部・深部の温度と血液の流れと関連しています。身体が冷えていれば、血液の流れが悪くなり、免疫力の中心的役割を持つ白血球やリンパ球が体内で十分に活躍できなくなって免疫力が下がり、ガンなどの重大疾患に掛かりやすくなるという仕組みという訳ですね。
病気の発症には、必ず原因があります。もし、根本的な原因が“身体の冷え”であるのなら、まず身体の深部を温めることが治療の第一歩ということではないでしょうか。日本で昔からある湯治(温泉治療)、しし鍋など動物肉を冬場に食べる等の習慣は、実に理に適ったものだということですね。