とうとう今年も梅雨入りしました。雨が延々と降り続くと、何だか空気が重く、息苦しく感じますよね。風水は、中医学と同じ論理(中華宇宙論、中華形而上学)の上にあり、密接に結びついています(それぞれ五術:Five Artsのひとつ)。今回は中医学の観点から、このシーズンの乗り切り方についてお話しましょう。
実は、伝統的中医学には、“梅雨”のシーズンに対する健康法というものは、存在していないんです。何故なら、中国本土の大部分では、梅雨という季節が無いからです。ですが、暑さと湿度に関連する病疾患への対処の仕方は、世界最古の健康医学書と言われている黄帝大経(Yellow Emperor’s Health Book)にも、何をどうすべきか、きちんと書かれています。日本の梅雨シーズンは初夏~夏の雨ということで、暑い空気と過剰な湿度、このダブルパンチで、自覚症状が無くても心身ともにダメージを受けてしまうものなんですね。
中医学で人間の体に悪影響を及ぼす自然の影響を、“邪(気)”と呼び、特に外からの邪気は五行分類にある五悪(風・熱・湿・燥・寒)それぞれの外邪と呼ばれます(風邪、熱邪、湿邪、燥邪、寒邪)。ある季節に陰陽五行のバランスが崩れると、それらの外邪が体内に侵入して来て、病気の症状が出るという訳です。
日本の梅雨シーズンでは、大気中の湿気が身体の中に“湿邪”として侵入しやすくなる時です。一般的に、人が快適と感じる湿度は50~60%と言われ、これをオーバーすると不快に感じたり、体調を崩すことが多くなります。
湿邪の主な特徴は、モヤモヤした気分、身体のむくみ、頭痛(偏頭痛)、食欲不振、お腹が緩くなる、だるい、暴飲暴食してしまう、喉が渇きやすい、イライラする、クヨクヨする、などなど。お腹を叩いたり揺らしたりした時にチャポチャポと音がする人は、完全に体内の水分過多、湿邪に侵されている状態ですね。また、湿邪は舌にも表れます。舌苔が生えている人は要注意です!
毎朝目が覚めた時に、パッと起きられない、何かスッキリしない、頭に何かがまとわりついている感じ、きちんと睡眠を取ったのに身体が重くだるい、これらの症状も湿邪の仕業、体内の湿気が過多な状態になっているために起こります(何かスッキリしないものが頭や身体まとわりついている様な感覚というのは、中医学では人間の生まれ持った湿気に対する感覚・センスと言われています)。
また、体内で湿邪が増長して暴れると、土の五行に属する脾臓や胃腸の動きに悪影響を与えるため、食欲不振、消化不良を引き起こします。
体内に入り込んでしまった湿邪を追い出すには、体内の気の流れを良くし、自律神経のバランスを整えることが重要です。木の五行に属する臓器:肝臓のケアをし、健康で強い肝臓を作ります。陰陽五行論に於ける第3のサイクル:生出(相洩)のサイクルを用い、水の五行を流してあげるということですね。
日常生活では、積極的に運動をして汗をかいたり、ドライサウナ(ミストサウナは×)で汗をかき、利尿効果のある温かい飲み物を積極的に摂って、体内に滞っている余分な水分を排出することをマメに行なうのが望ましいです。
自分自身の陰陽五行のエネルギーがバランス良く保たれていれば、湿邪に限らず、外邪が入り込む隙間が無いので、病気とは無縁の日常を送れるようになりますよ!