今回のドイツ滞在で出会った美味しかったモノ/残念だったモノをご紹介。

一般的なドイツ人女性(特に働く女性はなおさら)で、夜ご飯に手の込んだもの=火を使った暖かい料理を作る人は非常に少数派な様です。コールドミール(冷たい食事)と呼ばれるドイツの一般的な夕食は、基本的にパンとチーズ、パンに塗るパテ的なもの数種類という感じですね。ここにハムやソーセージ、野菜のスライス(ニンジンとかパプリカを切っただけ)があれば十分豪華な『夜ご飯』となる様です。

アレクサンドラ宅にお世話になったホルブ滞在中は毎日、そんな夜ご飯でした。暑い日が続いていたから、という訳でもなく、通年こんな感じなんだそうです。

暑い時はコールドミール+ビールで十分です。

ちなみに朝ご飯は、一般的なお宅ではシリアル+パンという組合せみたいです。アレクサンドラ宅でも、サビーネ宅でも、ニコール宅でもそうでした。シリアルと言っても、いわゆるコーンフレークではなく、ミューズリー(MüsliまたはMüesli)と言う押し麦メインの各種雑穀+ドライフルーツ+ナッツのミックスシリアル。日本でも売られていますが、何故だか結構高いですよね?

シンプル朝ご飯、ミューズリーにヨーグルトと牛乳。フルーツとコーヒー。

ホルプの山のてっぺんにあるビアホールでの食事。ザワークラウト(Sauerkraut)大好き!

手前がソーセージ&ザワークラウト、奥がステーキ&フライドポテト

そういえば、過去のドイツ滞在でザワークラウトを一度も食べていないかも。ベルリン~ポツダムなど北部の方ではあまり食べないんでしょうかね?ベルリンとポツダムでは、一般のお宅でもレストランでも、一度も遭遇しませんでした。“キャベツの酢漬け”と認識されていますが、実際は酢は一滴も入っていないんだそうです。塩もみしたキャベツにハーブや香辛料を混ぜ、常温発酵させた食品なので、あの酸っぱい風味は発酵の際に出来た乳酸の味とのこと。発酵食品ですので、腸に良く効きます!ドイツ滞在中の胃腸を快適に保つには、かなり優れた食品です。

我が家では健康のため毎日キャベツを食べるので、アレクサンドラにザワークラウトの作り方を聞いたところ、『これは見た目はシンプルだけど、作るのが結構面倒くさいのよ。だから普通は瓶詰のを買うの。まず家で作る人は少ないわよ。』とのことでした。

レバーケーゼ(Leberkäse)も南ドイツの料理。ペースト状にした肉を型詰めして焼いたものをスライスしたもの。ドイツ版ミートローフですね。結構厚切りでした。

手前がレバーケーゼ。

もうひとつ、南ドイツ料理でマウルタッシェン(Maultaschen)。正確にはこの辺り(シュトゥットガルト~バイエルン州西南部)の郷土料理は、シュヴァーベン(Schwaben地方の)料理と呼ばれるそうです。

写真はマウルタッシェン入りのスープ。薄切りにしたマウルタッシェンがコンソメスープに入っているもの。そもそものマウルタッシェンは、南ドイツ版ラビオリというか、くるくる巻き状の大型パスタ。フィリングはホウレン草とひき肉と小麦粉。なかなか胃にヘヴィです。

これは現物の8分の1くらいのスライス。

うちの夫は海外だと保守的な口となり、意外と口に合わない食べ物が多くなる傾向が強いので(食べられるけど、好んでは食べない、という感じ)、今回はドイツではだいたいステーキ系をオーダーしていました。ドイツ風ステーキは、大概何らかの凝ったソースが掛かって来ますね。輪切りの玉ねぎソテーが付くのは南ドイツならではだそうです。

付け合わせのシュペッツェレ(Spätzle)も南ドイツの郷土料理。南ドイツ版やわらかい卵麺です。やわらかい生地を、ところてんを絞り出す様な機械に入れて、熱湯に直接絞り入れて茹で上げるんだそうです。これは夫の口に合った様で、どこへ行ってもリピートしていました。

左にあるのが付け合わせのシュペッツェレ。この量!

地理的に北イタリアに近いシュヴァーベン地方、マウルタッシェンもシュペッツェレもイタリアのパスタの変形ですね。食文化に留まらず、この辺りの文化は、北部ドイツとは全く違います。

こちらは豚肉ステーキ。付け合わせのイチゴが私的には×××!イチゴはこんなところに置いちゃダメでしょう!

イチゴがステーキソースに沈んでいる~

こちらも南ドイツ:ババリア(Bayern バイエルン)地方の郷土料理、シュヴァイネブラーテン(Schweinebraten)。じっくりローストして柔らかくテロテロになった豚肉のスライスに、グレービーソースを掛けたもの。付け合わせの団子状のモノは、クヌーデル(Knödel)、これも南部の料理。土地によって作り方は様々らしいですが、このレストランのモノは、小麦粉に肉片や野菜片、ハーブや調味料いろいろを混ぜたものを丸めて茹でた、大きな味付き団子。味は美味しいかったのですが、胃にもたれたこと!

付け合わせの方がヘヴィ!

クヌーデルの断面。大き過ぎて食べるの飽きてきます(笑)

別のお店でのシュペッツェレ。どこでもこんな風に山盛りで来ますね。

ひとり分です。付け合わせです。

森が多く野生動物も多いお国柄、鹿肉を使った料理も多いですね。

鹿肉のグラーシュ。

グラーシュ(Gulasch)は、シチュー風煮込み。これも夫が気に入ったらしく、あちこちで頼んでいました。

ここのグラーシュはクリームソース系。

グラーシュとシュペッツェレひと皿。この2つのお陰で夫はなんとか2週間乗り切った感じ(笑)

もっと南部、山岳地方はチロル料理。南部ドイツ~オーストリア~北部イタリアと、文化圏は国をまたいで存在しますね。クヌーデルのチロル版は、平らな形でソテーされています。付け合わせのザワークラウトも、チーズクリーム煮となっていてこってり。

クヌーデル系、日本人にはひとつで十分です。

パスタをいかにも自国料理っぽく仕上げてくる品も多いです(ちょっと悪意がある言い方でしょうか?)。鶏肉を頼んだら、鶏肉の下に大量のリングイネが敷かれてきました。パスタソースは、まずイタリア本国には無い系です(心と口はイタリア人なので、偽イタリアンに関しては相当うるさいです)。

鶏むね肉のソテー。どう見てもパスタの方が量が多い。

グレービーソースやクリームソースの付け合わせにベリー系を乗せてくるのは、この時期ならではなんでしょう。市場でも色とりどりのベリーが。ただ、赤スグリは酸っぱすぎて生食は不向きかと。白スグリは初めて見ました。下の写真で右端に写っているのは、日本ではまず見かけないグースベリー(英:gooseberry)。イギリスだとヨーグルトなどのフレーバーであります。

黒スグリ赤スグリ白スグリ。

果物では、桃の原種に近い平たい桃:プラットプフィルズィヒ(Plattpfirsich)もありました。昔々の中国本土が発祥と言われるこの桃、美味しいんですよ~!スーパーでも大量に打っていました。甘くジューシーな割に、実がしっかりしていて食べやすいです。

平たい桃は中国から欧州に来ていました。

生野菜については、サラダを積極的にオーダーしないと摂取するのが難しいですね。ランチならサラダひと皿でも十分です。この量ですから。写真ボケてますが。

日本サイズの2倍。

飲み物では、今回初遭遇のエルドベアボウレ(erdbeerbowle)、最高でした!切ったイチゴをしばらく白ワイン漬けにして作ったイチゴシロップ(というかイチゴワイン)を、更にスパークリングワインで割ったカクテルです。お店によっては、ラムやウォッカなどの強いお酒をプラスすることもあるそうです。

イチゴにスパークリングワインという、2大好物が合わさった飲み物にテンションMAXだったのは言うまでもありません。ただし、これは欧州の甘くないイチゴだから成り立つのかも?日本の糖度が高いイチゴだと、甘ったるい味になってしまいそうです。夏にドイツへ行かれる方は、ぜひこれはトライしてください。美味しいです。調子に乗って飲み過ぎると脚にくる系飲料ですので、その点はご注意を。

サイコーです!夢の様な飲み物です!

一方、『これはダメでしょう』と思ったのが、キバ(KiBa)。ジュースを飲みたいなという時に飲んだり、アルコールがダメな人がバーで飲んだり、ドイツでは定番の飲み物らしいです。材料は、サクランボ(日本で言うアメリカンチェリー:Kirsch)とバナナ(Bananen)の100%ジュースを半々で混ぜたもの。はっきり言って、カオスな味です。単体ならそれぞれ美味しいジュースでしょうに、なぜ混ぜる?ドイツ人の味覚は判りません。

甘けりゃイイ、混ぜればイイってもんではないです。

肉好きの方には、シュニッツェル(Schnitzel)は外せませんね。仔牛肉の薄切りのカツレツです。どこで食べてもあまりハズレはない様です。今回の滞在で最後の晩餐で食べたシュニッツェルは、かなりの高級店だったのですが、その分美味しかったので満足でしたよ。

お皿いっぱいの大きさ。意外と薄いのでペロッといける。

上の写真では判りづらいのですが、南ドイツ風ポテトサラダというのも、今回初めて食べました。マヨネーズを使わず、ブイヨンとビネガー、オリーブオイルに塩だけでサッパリした味わいです。酸っぱいモノ好きの私には好評、マヨラーの夫には不評でした(笑)。

南ドイツ風ポテサラはNoマヨネーズ!

ハズレが無いものとして、ソーセージ盛合わせもそうですね。どこで食べても大概美味しいです。帰りのフランクフルト空港内のレストランで食べたものが、一番美味しかったかも。白いソーセージはヴァイスヴルスト(Weißwurst)、ミュンヘンのモノ。甘いマスタードを付けて食べます。

白い柔らかソーセージ。何故か甘いマスタードで食す。

ドイツ各地を代表するソーセージがあり、それぞれ茹でるのか焼くのか、何を付けて食べるのかが、きちんと決まっているそうです。

茹でより焼きが好きです。

メインの量が多いので、残念ながらデザートまでたどり着いたのは1度だけでした。アプフェルシュトゥルーデル(Apfelstrudel)は、ドイツやオーストリアで見られるリンゴパイというかタルト。薄く伸ばした生地でくるくる巻いたあれです。欧州でもドイツはケーキ類が美味しい国なんですけどね。食べるチャンスが少なく、甘党としては無念でした。

アプフェルシュトゥルーデルは定番ですね。

ビールについては、基本的にその街の地ビールを飲むのが一番だと思います。レストランでローカルお勧めを聞くのがベストかなと。中でも、日本のビールにはない小麦を使ったビールで、尚且つ酵母を濾過していない白濁タイプのビール:ヴァイスビア(Weißbier)またはヘーフェヴァイツェン(Hefeweizen)は、ビール特有の苦みがほとんどなく、小麦の甘さが強いので、ほぼ麦ジュースみたいで美味しいです!これはビールがダメな人でもいけるんじゃないかな?夏バテの時とか、食欲が無い時に、麦の栄養を補給するのに良い飲み物なんじゃないかしら?日本でも、無濾過の苦みが少ないビール、作ったら良いのにね。キレッキレの味ばっかりですもんね(我が家は辛口キレッキレも好きですけれど)。

小麦無濾過ビール、イイです!