もう直ぐ86歳になる荒井式中心気功の師匠:荒井義雄先生の食生活やライフスタイルは、世の中で言われている健康食や食餌療法とは全くの無縁ですが、体温を高く保ち、免疫力を高めるものに、自然となっています。毎日肉や魚の動物性タンパク質を摂取(体内で熱を作る)、たまに適度のアルコール(血流を良くする)、生野菜を食べない(身体を冷やす食材を摂らない)、ドライサウナで身体の芯から温める(高体温キープ)などなど。ここに、荒井式中心気功の正しい姿勢(体内エネルギーの流れの正常化)と正しい呼吸(より多くの酸素吸入)がプラスされている訳なので、そりゃぁ病気知らずなのも当然、誰よりも健康で、誰よりも強くしなやかな身体を持っている訳ですよね!

この3~4年、イギリスとドイツで荒井式中心気功のワークショップと個人セッションを行ってきて気付いたことがあります。どちらの国でも、身体の冷えが健康面で良くないことだという認識が無いんです。つまり、冷えというのは、中医学(TCM)や日本に於ける東洋医学でしか存在しない概念なんです。それを裏付けるものとして、西洋医学の世界では、“冷え症”という診断名は無いそうで、血行や血流が悪い体質や、老化や更年期などで出てくる症状と考えられています。患者が冷えによる不調を訴えても、単なる自覚的な症状として扱われるのみで、多くの場合は“自律神経失調”として診断され、症状を緩和するために精神安定剤やビタミンCを処方されて終わることが多いとのこと。つまり、冷え症の根本を治すのではなく、症状を止めることを目指す治療を行うんですね。

イギリスでもドイツでも、身体の冷えや冷え症についての話をすると、みなさん初めて聞く内容、初めて学ぶ知識らしく、へぇ~という顔で聞くのが印象的です。個人セッションで相談される健康の悩みも、大概が冷えが原因のモノですね。なので、身体の内部・深部から温めることをまずアドバイスします。毎晩バスタブに浸かる、身体を温める食材を摂るなど(生野菜より温野菜、ショウガや胡椒など熱を作る食材やスパイス使用など)、基本的な事柄ですが、現地の人々にとっては新鮮な知識でアドバイスの様です。

ベルリンの4月はまだまだ寒い、東京の3月初旬くらい。

イギリス・ドイツのワークショップ参加者には、ダイエットの悩みを持つ人も多いのですが、食生活を聞くとベジタリアンが結構多いんですよ。野菜しか食べてないのに、なかなかの脂肪を蓄えているのはなぜ?ここでも答えは“冷え症”です。身体の内部の温度が低いため、身体は命を守るために脂肪をどんどん貯めようとするからです。健康に良かれと思ってベジタリアンになった人にとっては、ショックな現実ですが、最終的には、菜食だけでどんどん太っていくのと、肉魚野菜といろいろ満遍なく食べて健康的な体重を維持するのと、どちらが良いですか、という話になります。インドや東南アジアと違い、ヨーロッパの様に気温の低い土地では、体温管理をきちんとしない限り、“健康的なベジタリアン”はかなりの難関の様ですね。