『日本では夏バテ予防にウナギを食べる』という話をイタリアの姉:Rosaにしたところ、へぇ~、日本人は変わってるね、という反応が。イタリア人は、“無理しない”というスタイルを徹底してやる国民性だからでしょうか。

私が家族の一員とさせてもらっているカルディナーレ家は、南イタリアのサレルノという街に住んでいます。ナポリから1時間ほど南下した、アマルフィ海岸の東側の起点です。かつて海運王国として栄えた名残りはほぼ消えてしまっていて、のんびりとした田舎の港町ですが、夏は気温30℃超えは当たり前、強烈な地中海の太陽に照らされると、体感温度は40℃近くまでなるでしょうか。救いと言えば、日本と違って湿度がそんなに高くないこと。家の中や日陰に入ると、エアコンなしでも大丈夫なんですね。基本的に、冷房が無い建物の方がまだまだ多いのですが、自宅の床は石造りとヒンヤリなため、家の中は真夏でも快適なのです。その分、冬は足元から冷えますが・・・。

かつては栄えた港町Salerno

さて、暑い夏を乗り切るためのイタリア人の考え方も、“無理をしない”ということ。暑くて食欲が無いけど頑張って肉を食べて元気を出そうとか、暑くてだるいけど熱い湯船にさっと浸かってサッパリしようとか、そういうハードニング的なことは、一切やらないのです。無理はしない、ツライことはしない。だって人生は一度きり、短いんだから、楽しく人生を送るべき!そう、これがイタリア流なんです。

前述の通り、イタリアでは夏場にクーラーを使っているところがほとんどなく、日本などの様に。キンキンの冷房で身体が冷えてしまうと言うことがないから、というのもあるかもしれません(香港など、冷やせば冷やすほどそれはステイタス、◎なこと、という価値観のところもあります)。

ということで、イタリア人家庭の夏の食卓は、サッパリ涼しげな料理が並びます。作る人がまず、暑くならないレシピが続きます。要は、出来るだけ火を使わずにパパッと出来る品々ということ。そう、料理を作る人、マンマも“無理をしない”のです。パスタもリゾットも、夏には冷製が良く登場しますね。パスタを茹でる行為だって暑い訳ですから、火が通りやすいカッペリーニ(茹で時間2分の一番細いパスタ)の出番多しです。ざく切りにした生トマト+EXVオリーブオイル+塩+胡椒というシンプルなパスタが、日本でいう梅干し茶漬けの様なパパッと作ってササっと食べる感じでしょうか?栄養的な面、腹持ちを考えたら、それに生ハム切り落としとか、ツナ缶を足せば満腹・満足度は一気に上がります。

夏場のひとり家ランチは毎日これ

ちなみに、日本のイタリアンレストランでは、桃の冷製パスタがメニューにあるところも多くなってきましたが、私の知る限り、サレルノ~ナポリ界隈の店では見たことがありません。姉:Rosaにも聞いてみましたが、『桃のパスタ?Noooooooo!』 ということでした(笑)。もしかしたら、ヴェネツィアとか、ハイソな海辺の華やかな街のリストランテなどには、あるのかもしれませんけれど。