甲状腺という器官について、知っていますか?

母親が40年近く甲状腺の専門医に通院してることや、香港ローカルの友人とその家族に甲状腺疾患を抱える人が多いことなど(これは香港が抱える大きな問題のひとつです)、個人的には割と身近な症状なんですが、身体のどこにあって、どんな働きをするのか、ご存じない方の方が多いのかもしれません。

ラッキーなことに、荒井式中心気功を学ぶお仲間に現役のドクターが複数いらっしゃることもあり、医学的見解に基づいて気功の施術を学び身に着けられるという恩恵に与っている身の上。先日の修練の際に、タイムリーに甲状腺疾患がトピックとなりました。陰陽五行論をベースとする中医学に於いて、春のピークは肝臓と胆嚢に関する季節ですが、腎臓と副腎にも注意を払う必要がありますし、また甲状腺にも焦点が当たるシーズンでもあるんです!

甲状腺は、どのくらいの速度でカロリーを消費するか、どのくらいの心拍数になるかなど、身体の代謝機能をコントロールする重要な器官なんですよ。加えて、たんぱく質摂取量と、他のホルモンの合成度合いも調整する役目を持っています。中医学に於いては、甲状腺は五行のひとつの要素だけに関連しているものではないんです。健全な甲状腺は、身体の水、木、火、土の五行に関する要素を全て制御し、守ってくれている役目だからです。

伝統的中医学(TCM)では、甲状腺は陰陽のアンバランスが原因で起こる甲状腺機能亢進症(バセドウ病)と甲状腺機能低下症(橋本病)についても、詳しく述べられています。

TCMに於いて、陰のエネルギーが不足している時というのは、陽のエネルギーが外側や上方へ溢れだすことを制御できない状態を言います。強過ぎる陽のエネルギーの無謀な動きが、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の特徴的な症状をもたらす訳です。そのため、火・木・水・土の要素のアンバランスの兆候:発熱、興奮、不安、怒り易くなる、不眠、多汗、筋肉の弱化、眼球突出、体重減少……などが表れてきます。見過ごされてしまうケースもまだ多い甲状腺機能亢進症ですが、骨粗しょう症の様に、骨が弱まり折れやすくなる等の症状も引き起こすので、注意が必要な症状なんです。

一方、陽のエネルギーが不足すると、身体の機能を正常に保つ生命エネルギーの生産が出来なくなり、甲状腺機能低下症(橋本病)の症状をもたらします。その結果、水・木・火・土のアンバランスの兆候:手足の冷え、体重増加、鬱病、むくみ、慢性疲労感……などの症状が表れてきます。こちらも、単なるなまけ癖と診断されたなど、誤診が少なくない様です。

TCMで、甲状腺機能亢進症を治療するためには、陰エネルギーを養い、陽エネルギーを抑える必要があります。陰エネルギーの過剰によって起こる甲状腺機能低下症の場合は、陽エネルギーを強める治療をします。いわゆる漢方薬と呼ばれる生薬と、毎日の食事での五行エネルギーの摂取バランスで、身体そのもののエネルギーバランスを整えて行き、健康体に戻していく、ということですね。

西洋医学で病名が付かない症状でも、TCMの治療が有効な場合が多くあります。四柱推命の命式で自分自身の五行バランスを観ることで、これから現れる可能性が高い病気、将来なり得る症状を、前もって的確に知ることが出来ます。未病のうちに治療する、これが健康で長生きする秘訣とも言えますね。